東京大学史料編纂所

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所報―刊行物紹介

大日本近世史料 幕府書物方日記十四

 本冊には、内閣文庫所蔵の『書物方日記』十四(元文三年正月から五月まで)及び十五(元文三年六月から十二月まで)の二冊、計一カ年分を収めた。
 日記の記載様式は前冊同様に整備され、天候、強風雨、地震等の書庫管理上の必要事項の記入が詳しくなっている。業務としての書籍の点検、目録の改訂は常時施行されている。即ち、詩文之部、諸家書付、地理之部、類書之部等の吟味、袋入れ作業、格納替えが行われた。
 この年、吉宗は『仁風一覧』三部の摺立を書物奉行に下命している。今更言うまでもなく、この書は、享保十七年の全国的な田畑不作に際会して、救済のために金品を提供した人々の一覧であるが、享保十九年に浪華の書林中から印行され、更に元文元年十二月に『新刻仁風一覧』の書名で再刊されたものである。吉宗は、膝下に置く意があったのか、その表紙に好みの注文を命じている。また『享保十七年虫附損毛諸事留書』は吉宗の手許に置かれたままであった(同書は翌年六月二十六日に書物方に返却されている)。極めて大きい関心事の一であったことがわかる。
 この年は、法帖類の出納が目立っている。それに関連して、『義之聖教序』の一本は秀忠手澤本であることが確認されて、特別扱となった。また、家宣手澤本七部が確認されて、箱の作製が命ぜられ、これまた特別扱となった。臨時の作業には、二條家からの依頼で、紅葉山文庫蔵の同家記録写本の写しを作成することになり、目次記類の調査・書写・校合がなされた(目録共二百三十冊、墨付約一万千九百七十七枚)。本多忠統の書籍拝借も頻繁である。西蔵の修理が施され、四年ぶりに御朱印の風干も行われた。
 暮には、同心世話役小澤又四郎が永年勤務の功を賞され、この年から金五両を毎年下賜されることになった。
(例言一頁、目次二頁、本文二四七頁、人名一覧二四頁、書名一覧二一頁)
担当者 山本武夫・加藤秀幸


『東京大学史料編纂所報』第15号p.60