東北地方のキリシタン関係史料調査

昭和五十二年十一月九日より同月十三日までの五日間、岩手県下の水沢市、江刺市、盛岡市においてキリシタン関係史料調査と撮影とを行なった。
 東北地方所在のキリシタン関係史料の調査は昨年度行なった宮城県に次ぎ第二年次にあたり、本年は岩手県下所在の関係史料の調査と蒐集を行なうこととした。
 水沢市立図書館では、当地のキリシタン旦那後藤寿庵に関する史料について調査したが皆無の状態であった。司書高橋玲子氏の案内で寿庵とその家臣団の居住地であった福原の遺跡を見物した。尚、当図書館には留守家文書二千点余りが保存せられ、中世文書についてはすでに本所所員が調査ずみである。印刷校正中の『留守家文書目録』には、近世関係文書一三五五点、絵図一四九点が見られる。
 水沢図書館の紹介により、江刺市立図書館を訪れる。江刺市では現在市史十一巻を刊行中であり、すでに資料篇四巻を刊行している。市史第五資料篇にキリシタン類族史料四点を載せている。館長相原伊孝氏の好意により左記四点を調査し撮影した。

『東京大学史料編纂所報』第13号