東京大学史料編纂所

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陽明文庫・岡山大学附属図書館の史料調査

 昭和五十一年十月十九日より同月二十三日まで、「大日本史料第五編之二十五」編纂資料として、宝治百首の写本を調査、撮影するため、陽明文庫及び岡山大学附属図書館に出張した。なお岡山では、「大日本史料第七編」編纂資料として、為尹卿千首和歌調査の依頼を受け、ノートルダム清心女子大学附属図書館へも参向した(図書は閲覧のみで、撮影は一切許可していないとのことであった)。
 陽明文庫では、左記の書籍を撮影した。
 1宝治御百首(架番号、近/ホ/42)                二冊
  本書は、安井久善氏「宝治二年院百首とその研究」三八三頁に「上冊は墨付七六丁で春夏の部を収め、下冊は墨付一一七丁、秋冬恋を収めている。冒頭の歌題の所には、雑部の歌題も記述されてあるが、本文では雑部が全く欠けてみられない。上下冊の丁数の差が大きい点から考えると、おそらく上中下三冊が、この伝本の本来の姿であり、そのうちの下冊の後半部分にあたる雑部が脱落して失なわれたのち、残された恋部が分量も少なく中途半端であるので、中冊と合綴され、現存本の形態となったものと推定される。」と述べ、本来、春夏、秋冬、恋雑の三冊仕立の本であったように説明しておられる。けれども本書に関する限り、恋の部は、袋綴になっている料紙の裏部分から始まっているので、正確に云えば、本書において合綴がなされたわけではない。
 2宇治御幸記 宝治二年十月二日(近/241/8)          一冊
 3四天王寺御手印縁起(近/30/54)               一冊
  本書は宗性筆で、朱筆の返点、送仮名、振仮名、読点が付してあり、また墨筆での振仮名もある。さらに朱仮名の合点は墨筆といった墨朱混合の状態であるから、使用の際は写真だけでなく、原本を見る必要があろう。
 岡山大学附属図書館では、左記の二書を撮影した。
 1宝治百首(911・14/51—1/池田)             一冊
  池田文庫本。現在次掲書と上下二冊構成のようになっていて、外題も同筆で書かれているが、もともと別本である。本書は歌人別に詠進歌をまとめて記載しており、題別に歌を集め記す他本と懸隔甚だしい異本である。
 2宝治百首 下(911・14/51—2/池田)           一冊
  池田文庫本。宝暦五年の平経平書写本。
                      (百瀬今朝雄・黒川高明)


『東京大学史料編纂所報』第12号p.113