東京大学史料編纂所

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所報―刊行物紹介

大日本古記録 猪隈関白記一

本書は、近衛家第三代家実(一一七九−一二四二)の日記である。「続御暦」とも称せられるが、今は便宜一般に通用しているところに従った。
底本に用いたのは、京都陽明文庫所蔵の自筆本二十三巻及び古写本十六巻である。同文庫には、これらの他に江戸中期写の所謂「予楽院本」三十七冊(目録一冊を含む)があるが、今その年紀を掲げれば左の通りである。

 
自筆本
古写本
 予楽院本
建久八年四季
 
建久九年一−二月
×
 
同 三−六月
×
 
正治元年春
×
 
同 夏
 
同 秋
×
 
同 十月−十一月廿日
×
 
同 十一月廿一日−十二月
×
 
正治二年春
×
 
同 夏
×
 
同 秋
×
 
同 冬
 
建仁元年春
 
同 夏
×
 
同 秋
(二冊)
同 冬
×
 
建仁二年春
×
 
同 夏
×
 
同 秋
×
 
同 冬
×
 
建仁三年春
×
 
同 夏
×
 
同 秋
×
 
建永元年夏
×
 
同 冬
×
 
承元元年秋
×
 
承元二年春
×
 
同 夏
×
 
同 秋
×
(二冊)
同 冬
×
(二冊)
承元三年秋
×
 
承元四年夏
×
 
建暦元年春
×
 
建保五年(松尾行幸記)
×
×
 


既刊の「大日本史料」は、予楽院本の転写にかかる内閣文庫本に拠っているため、誤写・脱漏等が少くない憾みがあった。
今回刊行にあたって五冊(予定)に分ち、本冊には、建久八年正月より正治元年九月までを収めた。公卿の日記の常として、年中行事や典礼に関する記事が大半を占めるが、後島羽院政期における貴重な公家史料である。
担当者 近衛通隆・龍福義友・石田祐一
(例言三頁、目次一頁、本文二六七頁、図版二葉、岩波書店発行)


『東京大学史料編纂所報』第7号p.41