東京大学史料編纂所

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所報―刊行物紹介

大日本近世史料 諸宗末寺帳下

本冊には、前冊に引続き、内閣文庫所蔵「諸宗末寺帳」の原本のうち、冊子十九冊と書付十一通とを収めた。
冊子十九冊は、竜穏寺・寶泉寺・竜淵寺・法花宗諸寺・要法寺・本隆寺・妙蓮寺・本満寺・立本寺・本国寺・妙満寺・妙顕寺・本禅寺・本能寺・本法寺・妙伝寺・妙覺寺・頂妙寺・遊行寺の末寺帳で、日付は寛永十年正月から十二月の間で、日付のないものが二冊ある。内容は、本寺・末寺・末々寺の寺名、所在地、寺領、御朱印の有無が主である。
十一通の書付は、もと「諸宗寺牒目録十一巻」と表記された紙袋に収められていた。そのうち、寿福・浄智・浄妙寺、正宗寺、寿福寺、寂光寺、妙泉寺、清音寺、寶戒寺の末寺・寺領等の書上七通のうち、五通は、寛永九年・十年のものであり、年号・日付を欠く二通も同様と推定される。「五山之目録」と「五山出世之様子書物」の二通は、本光国師日記、寛永九年九月五日の条に記載されており、本光国師から、林道春をへて、松平信綱に提出したものであることが判る。また、「入目録上」は、冊子三十五冊を宗派別に整理したもので、日付を欠くが、末寺帳が、幕府に提出されてから、さほど遠くない時期のものであろう。「入目録下」は、書付六通の目録で、時代が下って、貞享元年に作られているが、その間の事情は明らかでない。
なお、「諸宗末寺帳」には円覚寺の末寺帳が収められていないが、「諸宗末寺帳」の写本と思われる「寺院本末記」(内閣文庫所蔵)の巻末に、延宝二年の「鎌倉円覚寺末寺帳」が収められているので、時代は下るが、参考のため、附録として収載した。また、巻末に、解題及び寺名索引を付した。
担当者 沼田次郎・山口静子。
(目次三頁、本文一八二頁、附録一二頁、解題三頁、索引九七頁)


『東京大学史料編纂所報』第4号p.85