清国條約書和解（編者考ニ天津條約書ナラム 黄埔条約のこと）
大清国より仏蘭西国と是迄久敷通交致し来
候船数等の儀に付此節大清国大皇帝大仏蘭
西国大皇帝と往々万民保護之仕置を案し付
両国の大皇帝和睦の上通商船数等の作法を
議定致し利徳之地盤をすへ度両国より態々
本国の全權大臣を遣わして取捌為致候ニ付
大清国皇帝より大臣大子少保兵部尚書両広
総督部堂宗室耆を遣わされ大仏蘭西国皇帝
より全權大臣趙委公使拉蕚尼を遣わされ互
に公道の取計に而至当之儀を致吟味箇條を
議定致し候議左之通
第一ヶ条以来大清国大仏蘭西国皇上并両国
の人民に到る迄永々和睦致不依何人何方に
をひても身家を可保事
第二ヶ条向後凡仏蘭西国人の家内召列中国
広州厦門福州寧波上海五ヶ所の市中江居付
往々無断絶無事に交易致し仏蘭西国の船々
五ヶ所江繁く交易往来に付てハ其最寄に任
かせ海辺の諸所に於て内證之商売致間敷若
し此ヶ條を犯す者有之にハ第三十ヶ條に載
置候外其船之荷物勝手に取揚け中国之地役
人此等の荷物を相糺し取揚けに決定不致内
早速最寄在留の仏蘭西役人（在清領事官ならむ）江問合
可致事
第三ヶ条仏蘭西人右五ヶ所に罷居る者共の
家財等中国の者共乱に差障間敷中国の役人
たりとも何れによらす仏蘭西船の物を無理
に押領致し公私用の物と致間敷事
第四ヶ条大仏蘭西国の皇帝存慮を以て支配
役を立て中国五ヶ所通商の場所に召置商人
共交易の取捌并作法相立候様吟味為致中国
役人彼支配役互に礼義を以て相交り取遣の
書札等輩を用ひ万一異儀到来之節には彼支
配役早速右五ヶ所総支配致候大臣（全權公使之類なら
む）の所に差越申出べく若五ヶ所支配の大臣
不居合候わは省垣大憲江申出委細相糺公道
に可致取捌尤支配役彼所に不居合候わは仏
蘭西船の商人地方の支配役へ相頼み取捌可
致無左候てハ直に海関に差越書付を以て申
出候様に相捌き彼船主商人共作法の利潤を
得候様有之度事
第五ヶ条大仏蘭西国皇帝存慮を以て陣船を
差分け商人水手之押として五ヶ所へ遣し置
き支配役へ威勢を持せ向後陣船の人数皆共
相謹み無事を第一と心掛け此儀専ら陣船主
の請持に申付第二十三ヶ条に有之候諸船他
と相交り并小水手共を制し候條例之通り可
取計陣船の儀は諸出銀等不差出様議定可致
事
第六ヶ条仏蘭西人右五ヶ所に於て交易致し
総体入津出帆之節出銀等定置候通両国出役
之印形有之上は出銀致し其出銀は以来決し
て増加不相成尤も別段の入目差出され間敷
仏蘭西人出銀致し候上ハ其荷物此節の印形
を交例之通禁制定数外に而無之品は本国又
は他国より持来何方に持越に不拘都て勝手
に可致中国被定置候荷物今更禁制定数被相
立間敷若以来違背の儀有之候節は仏蘭西と
立会致吟味可決定当今定り居り候出銀等以
来相定候儀に付ては仏蘭西人の商人時々逐
一致手別厚愛の国の如く可有之若又以後出
銀減少之儀も有之候ハ仏蘭西人も右同断可
致事
第七ヶ条仏蘭西荷物右五ヶ所に於て例之通出
銀致し中国の商人直に内地に持越に付ては
税関を通り候節は例之通出銀為致別段入目
科相請取間敷当分通りに候得ハ相当に候間
此以後加増無之様若又海関の役人等箇條不
相守出銀等詐り取者有之候は中国御法様之
御仕置可有之事
第八ヶ條定り居り候出銀相当ニ付私曲の申
立無之定て仏蘭西之商船も右五ヶ所に於て
私曲之儀不致筈候若し哉商船五ヶ所に於て
何品に不依禁制の物又ハ抜荷等の儀有之候
節は地役人召取糺明致し荷物取揚勝手に中
国より右様の船中公に差越候儀被差留早速
諸出入決算之上出帆可被申付候万一外国人
仏蘭西人の目印を偽用候者有之候ハ仏蘭西
も法を立不正之風俗急と可差留事
第九ヶ条凡此以前広東にて相究候交易洋客例
之通已に仏蘭西人を被差返候得共以後は五
ヶ所に於て勝手に荷物を買入置入津出帆中
国ハ勿論何人に不依勝手に交易為致中買致
間敷以来余人より引継き中間を組一手買之
商売致可からす万一違背之者有之候は支配
役中国の役人より為知置法を立て追払ひ中
国の役人前以て禁制致し勝手に往来交易之
妨に不相成様有之度事
第拾ヶ条以来若し中国の人仏朗西船主商人
より借財致居候者有之候得は設令不正の手
筋たりとも仏朗西人旧例之通請合人相対に
償を受取間敷支配役より申出地役人へ問ひ
合精々吟味を遂け例之通償返様稠敷可相達
候併し借主欠落致難被召取又者致死去又は
家財等も無之可償余勢も無之候はゝ仏朗西
之商人役所に申出償を取間敷又仏朗西人不
正之手筋相企中国人江損失為致候者有之候
はゝ支配役も同断中国人の為に精々返弁可
為致併中国人支配役并仏蘭西国江申出償を
取間敷事
第拾壱ヶ条凡仏蘭西国之船主五ヶ所之内江
馳せ入り候場所と則ち橋船を雇ひ湊に引入
れ相掛候出銀皆納之上出帆致候節は橋船を
以て速かに湊口を引出させ尤誰人にても仏
蘭西船の橋船に被雇度ものは船主の証文有
之候はば支配役其者に申付べく余国同様可
取計橋船に相渡候賃銭は支配役等五ヶ所に
於て公道に水路の遠近険易を相計り賃銀可
相究事
第拾弐ヶ条凡仏蘭西の船橋舟を以て湊内に
引き入れ候節は海関より役人一両人を差遣
し船に付添ひ抜荷等取締り彼の役人或ハ商
船に乗り付候歟又は船自分雇に而も勝手次
第たるべく入用の食物海関より仕出し船主
其他商人共に対し食物為差出間敷万一違背
之者有之候はバ早速右品物の多少により例
之通罪科に行ひ其員数之通可為償事
第拾三ヶ条凡仏朗西之船入津之節は一日の
内に無滞其船主或は荷物主又は代役の商人
早速船手形并荷物帳等之物支配役江差送り
彼支配役船手形荷物帳相請取候後一日之内
に則船名人名并載置候諸荷物之位を委敷海
関へ掛合致し若し船主相懈り船入津後二日
迄の間に船手形荷物帳を支配役より不差出
候得は一日を越科銀五十員中国の役人江可
差出尤も科銀弐百員に不過様支配役海関江
掛合候後海関早速手形を仕出し其艙を開く
事を差免候若し船主未手形を不申請自尽に
艙を開き荷物を卸し候はハ科銀五百員卸候
荷物は都て可取揚事
第拾四ヶ条総体入津之船未た手形不申請候
て荷物を卸し候わハ則ち第拾六ヶ条に批議
致し通両日の内に出帆致し他所江可差越此
処にて出銀に不及荷物売払候場所にて出銀
可致事
第拾五ヶ条総体入津之船に両日を過き候は
バ早速出銀皆納致し旧例之通船々百五拾人
以上之者ハ出銀五銭百五拾人に不及は当人
毎に出銀壱銭是迄湊出入に付諸入目都て相
除き以来異事不致到来様出銀之節は海関よ
り証文相渡し船出銀を書出し皆納可致候若
し彼船他所江馳せ行き候はハ則入津之砌証
文為改出銀に不及して面働をのかれ候総体
仏蘭西船外国より中国に参候に纔壱度船出
銀致し置仏蘭西三板等の小船は帆の有無に
依らす使人共行李書信食物等積運迄にて買
売の品無之ものハ全く出銀に及ばす若し彼
小船荷物持運ひ候時ハ百五十人以下之旧例
通銀銭一銭を可差出若し仏蘭西商人中国の
船を雇入候得は其船は出銀に不及候事
第拾六ヶ条総体仏蘭西商人荷物を卸ろし候
折には先に荷物帳を書出し支配役江差出則
通事江申付海関江注進致其上荷物卸し御免
有之当座にて諸荷物改方相済互に迷惑を不
受様に有之度仏朗西商人出銀等の儀自身吟
味致す考無之候得者別段功者のものに吟味
を頼み出銀之儀は勝手たるべく候若しや以
後間違の申分有之候ても何事も取揚不申候
直組等致候荷物迄若商人中国人と符合不致
候はハ互に両三人の商人を集め荷物を吟味
致候上其内商金の者を撰ひ直組を定め総体
出銀の節は正味掛の品物を以て押并し其品
物風袋を引き若仏蘭西人海関と諸品風袋之
軽重相究候儀不相成候はハ諸品風袋込にか
けしめ置最初斤数多少を定め又は風袋を引
き其斤目を掛け右之通を以て押并に算用致
荷物吟味の節若符合不致儀も候はハ仏蘭西
商人早速彼を招来り海関江面会の上精々取
成し一日中に何分可申出候無左候はハ吟味
不行届候に付何分議定不致内に海関に互に
右様争立候斤数帳面江書載候儀不相叶多分
以後決定六ヶ敷可有之入津之荷物相損候儀
有之候はハ出銀を相減し旧例之直段通公道
に可取計事
第拾七ヶ条凡仏朗西船五ヶ所入津致若し荷
物何程にても卸し候はハ則ち其多少に応し
出銀致残荷物他所江持越商売致候ものは其
出銀も其所に可差出仏朗西人此所にて已に
出銀致候ても他所へ持越商売致度ものと支
配役より申出海関より致面会荷物相改元積
入通相違無之候はハ手形相渡し彼荷物已に
何方に於て出銀相済候段書記し彼商人他所
へ参る節手形を支配役より差出し海関より
差廻し改相済候上出銀差免し早速手形相渡
荷物揚け方為致其外諸雑費ハ有之間敷候万
一私曲之仕業等有之節は則其荷物可取揚事
第拾八ヶ条仏朗西船主又は商人荷揚出銀の
規則吟味致次第員数之通相済出帆之節荷積
之儀も同断総体仏朗西船に相掛り候出銀上
納相済候上海関早速請取書相渡支配役より
差出し改相済次第直に船手形差返し帰帆可
為致海関若干の金子を勘定致し中国へ仏朗
西より可差出出銀を請取右銀子相渡候請取
中国役人より相渡候さて差出銀子は或ハ紋
銀或ハ洋銀海関と支配役其相場相糺洋銀紋
銀に引較へ若干之増銀を差足す可き事
第拾九ヶ條五ヶ所海関共に支配より被渡置
候秤并丈尺等有之一分之物を作り慥に引く
らべ支配役所江差遣わし格護致置軽重長短
は粤門の海関と相替る儀無之候品物毎に粤
海関の文字を刻印致し相掛け候出銀中国よ
り差出候者と共に此秤を以てかけ渡し若し
掛貫候荷物六ヶ敷節者則ち此を例と致べき
事
第二拾ヶ条総体荷揚場所之儀は御免無之に
付ては自在に持運間敷併荷揚不致候而不叶
場所は彼商人支配役より申出証文可相渡海
関証文相渡候上荷揚差免其所之海関に不断
役人江申付見締為致若し御免を不請して荷
揚致し候者有之候ても存外成危難に遇ひ可
相伺間も無之者の外と内証荷揚致候品物は
都て取揚に可相成事
第二拾一ヶ条総体仏朗西船之商人勝手に諸
色荷揚に船を雇ひ荷物を積み便容を乗せ其
便賃ハ相対に納得致候様是は地役人取揃に
不及候万一其船行衛不相知期に及候はハ地
役人より決して償候儀有之間敷其船数之限
ハ無之候又余人江世話為致に不及尤も荷物
揚積等に付日用夫共請持候儀不相成候事
第二十二ヶ条総体仏朗西人第二ヶ条之通五
ヶ所之地方江差越居住の儀人数の多少に不
拘勝手に借宅致し店を出し荷物を貯へ或は
借地家作致候上渡世之道を仕立仏朗西国同
様礼拝堂医人院周急院学文所墓所等致建立
地役人支配役立会仏朗西人右建立并住所に
可宜場所を定め地料屋賃の多少ハ双方拘わ
り候者地方通例之代料を決し中国の役人内
地の者共屋賃等高直に不相請取様差留仏朗
西の支配役も当所の人に無理に屋賃等不相
請取様覚悟致居五ヶ所に於て総体仏朗西人
居住之家間数地面之広さ限りに及す仏朗西
人共互に利潤有之候様万一中国之人仏朗西
之礼拝堂又者墓地に乱妨いたす者有之候は
ハ地役人国法の通り厳科に可被行事
第二拾三ヶ条総体仏朗西人五ヶ所に居住致
或ハ往来遊行最寄の処へ歩行を許るし其日
の働作は内地の者共と不相替様併支配役并
に地役人差究置候方限外にて渡世の業仕立
間敷商船汐繁に付たるも彼水手共堺を踏越
遊行致候儀有之間敷若哉上陸之節は取締の
可随規則其規則は支配役議定之土地役人江
問ひ合致吟味彼水手共内地の人と不及争論
様用心致置仏朗西誰人に依らす若禁制を犯
し或は境を踏越深く内地江踏込候者は中国
役人勝手に召捕最寄へ罷在候仏朗西支配役
へ送り届け支配為致中国之者共一統被召捕
候仏朗西人を打擲又疵付候て両国の好みを
破間敷事
第二拾四ヶ条仏朗西人を五ヶ所買物方に掛
置き候通事書役水手勝手に相雇ひ且又士民
等を相招き中国の語音を致稽古中国の文字
并諸国の土語等を書記し或は人々を相招き
筆墨を拵文学等の次第を立諸色束修又は諸
細工料等迄吟味を尽し或は支配役に書簡を
以て仏蘭西人も中国人に仏蘭西語其外外国
之言葉を稽古致度存慮之者共ハ指南致し又
ハ仏朗西之書籍を売中国之書書籍を相求度
事
第二拾五ヶ条相体仏朗西人中国人へ意趣相
含者有之候ハ一と先つ支配役へ申出精々相
糺し可取鎮若中国人仏朗西人へ意趣相含者
有之候ハ支配役も入念相糺し取鎮め若又争
論致支配役党人を取鎮候儀不相成節は早速
中国の役人江相頼み共に明白に相糺し公道
に可取計事
第二拾六ヶ条以来仏朗西人五ヶ所に於て中
国人より無実の辱を受け騒動に及候節は地
役人早速押付け法を立相守り猶又不法の者
共盗賊等を致さん為に仏朗西の居宅并諸寺
院江火を放ち候儀有之候ハゝ中国の役人相
糺し支配役の問合に任せ早速党類を追払ひ
犯人を召捕国法に従ひ厳科に行ひ左候て償
返すべき者に右品を可為償事
第二十七ヶ条仏蘭人中国人と争論の事有之
人数多少によらす火器并刃物等を以て死傷
に及候節は中国人に候得共中国の役人より
召捕厳重に相糺し中国の国法通罪科に可行
又は仏朗西人右体の儀有之節ハ支配役より
召捕へ仏朗西国法通速に罪科に行ふべく尤
罪科之次第ハ此以後仏朗西例式致議定其上
罪の軽重決行難致儀も有之候者右之ヶ条を
以て吟味すべし仏朗西人五ヶ所に於て罪科
を犯し候者不依軽重仏朗西之国法通可相計
事
第二拾八ヶ条仏朗西人五ヶ所に於て万一不
和の儀有之争論之期にも及候得は都て仏朗
西役人より取捌可被致仏朗西人と外国人と
争論の事有之候節ハ中国役人糺明に不及仏
蘭西五ヶ所へ罷在候中国人御取捌に不及皆
共仏蘭西人又ハ船主自身取計候様可有之事
第二拾九ヶ条仏蘭西商船中国の洋中に於て
賊船より被掠取事有之候ハゝ最寄の文武官
人被聞届候上早速稠敷搦捕へ国法の仕置可
有之其盗物を何方にても手に入れ又ハ如何
なる訳合にも都て支配役へ差出し本人へ引
渡し為相請取若し捕方の役人右賊人を不捕
得或ハ盗を全く取出候儀不相叶儀も候わバ
中国の法様に取捌右品物返償すべき儀不相
成候事
第三拾ヶ条総体仏朗西陣船往来遊歴して商
船を守護致来る通船は中国諸湊一統叮嚀に
相交り其陣船は日用の諸品を買入候儀自由
に出来候若哉破損に及ひ候節ハ材木を求め
修復相調へ決して差支無之様万一仏朗西商
船又ハ其外の釈合にて急速ニ湊に入り迦し
居候者ハ何方の湊によらす一統叮嚀に相交
居仏蘭西之船中国近岸之地方に於て破損致
儀有之地役人被聞届候わハ即日急用之物を
与へ救ひ荷物取揚候手段を仕立大破に不及
様致し最寄の支配役等より問合地役人立会
彼商船の水手抔に申付帰国せしめ右破損の
船板其外荷物等可取揚事
第三拾一ヶ条総体仏朗西陣船并商船水手等
之もの欠落いたし支配役又ハ船主地役人江
掛合精々相糺し召捕へ候上支配役所へ送届
る歟又ハ船主へ預置歟若中国之人罪を負ひ
仏蘭西之旅宿へ遁れ込む歟又ハ商船へ隠し
置く歟右体の儀ハ支配役江致掛合候得は罪
を糺し即法を立中国役人へ引渡皆共互に覆
蔵ある間敷事
第三拾二ヶ条向後中国他国と兵乱に及ひ敵
国より諸湊に告け入津不相調外中国より仏
朗西と交易又ハ兵を用ゆるの国と交易致候
儀差留られず総体仏朗西国中国湊より敵国
の湊へ馳込湊出入の諸色荷物ハ全く差障之
儀無之毎之通商売不相替様有之度事
第三拾三ヶ条向後両国役人共御用に付往来
致し候折銘々其者貴賎により等輩の礼義を
用ひ仏蘭西国の大役中国京内京外大役と御
用文取遣し共に照合を用ひ仏朗西二等の官人中国禁中の大役と御用文取遣し申陳を用ひ中国の大役と箚行を用
ひ両国等輩之官人と合并之礼通り其商人并
無の者ハ互に申出之儀は禀呈を用ゆべし仏
朗西人地役人へ申出之節其書付は皆支配役
より取次可致支配者別書面之趣を細々吟味
致し道理に叶ひ候儀に候はハ早速取次可致
若無左候わハ添削致候歟又は可差返中国之
人申出之趣有之度支配役へ差越候節も一と
先地役人へ遣し右同様に可取計事
第三十四ヶ条向後大仏蘭西皇帝若国書有之
朝廷へ被差上候節ハ彼の在留支配役国書五
ヶ所及ひ外国の諸事を司り候大臣江遣し若
し五ヶ所へ大臣無之候わハ直に総督へ送遣
当人より差上候様其報書有之節も右同断可
致事
第三拾五条以後大仏朗西皇帝作法ヶ条可被
相改儀有之候節は即ち直に作法を可相改都
合十二ヶ年迦し合候わは其節又々中国と批
議を遂くべし他国へ定置候作法は仏朗西今
度定候ヶ条の中に無之所は仏朗西支配役諸
民人と遵守のみ致す間敷向後若し御仁政の
恩沢有之他国是を象とり候はハ仏朗西も自
から夫に豫るべき事
第三拾六ヶ条総体和睦并通商船数等の作法
両国大臣印形の上大皇帝に奏聞致印形被成
当日より大概一年の内か又は其内か大清国
皇帝大仏蘭西皇帝雙方御覧之上御議定之免
許互に証文如件
両国出役之大臣作法書面に印形致し候
証據とす
道光二十四年九月十三日
耶蘇基里師督降生以来一千八百四十四年
十月二十四日黄浦仏蘭西阿吉黙特火輪
兵船上鈴用関防