ネタの小箱

自分で何か書こうという意欲も特にないが、捨てるには惜しい珠玉の(?)ネタの数々をご披露申し上げます。ご自由にお使い下さい。(ただ、どのような形になったか、やはり知りたいので、出来上がった論文ないし作品のコピーでもお送りいただければ幸いです)

求む!戦国史研究者

といっても、所員募集の広告ではありません。
実は戦国〜安土桃山時代の歴史というのは、一般の人々にも身近な割に不明な点がとても多いのです。ですから、研究のテーマに困っている学生、院生、その他どなたでも、是非この時代を取り上げてみて下さい。
例えば、10編の編纂ノートにもありますが、龍造寺氏の西北九州征服の過程はこれまで軍記類を柱に組み立てられていましたが、その軍記等が主として龍造寺一族の鍋島家の下で書かれたもので、龍造寺の力や勢力範囲を強く大きく評価し過ぎており、天正2年頃にはまだまだ強かった豊前大友氏の影響力をほとんど捨象してしまうなど、実態と懸け離れているのです。このほか、例えば1997年度NHK大河ドラマで取り上げられた毛利氏についても、その中国地方征服の過程は案外よく分かっていないようです。
ですから、簡単な政治史でも十分にオリジナルな研究を行う余地が広がっているので、卒業論文には最適と言えるでしょう。
そして特にお勧めのテーマが、織田信長です。数多くの小説やドラマに取り上げられ、一般の方にもお馴染みの人物ですが、その足跡は実のところ未解明の点だらけです。しかも、関係史料の多くが『増訂織田信長文書の研究』全三冊(奥野高広著、吉川弘文館刊)にまとめられており、研究の土台は比較的整備されています。卒論を書いたら学問から離れてしまう方にとっては、誠に手頃な題材と言えましょう。
また、信長を専門とする研究者は日本中探してもほとんどいない=ライバルが少ないというのも重要です。信長研究の第一人者(世界一!)になるのも、そう難しくないかもしれません。大学院への進学を考えている方にとっても、なかなか魅力的な研究対象ではないでしょうか。


細川政元を主人公に大河ドラマを!

と私は常々主張しているのですが、NHKさんいかがでしょうか。
細川政元(1466〜1507)は、応仁の乱で東軍の中心となった細川勝元の子で、室町幕府の実権を握って畿内を支配した人物。1473年、父勝元死去、翌年、山名政豊と講和して応仁の乱終結、93年、明応の政変で将軍義材(義稙)を追放・義高(義澄)を擁立、またこれと呼応した伊勢宗瑞(北条早雲)が堀越公方を討滅、1504年、薬師寺元一(政元養子澄元の与党)の叛乱を鎮圧、07年、細川澄之(政元養子)によって暗殺、とその生涯は波瀾万丈。日野富子より、はるかにドラマ向きです。ただ、陰謀家なのであまりお茶の間向きではないかも(しかし、毛利元就が大河ドラマになったくらいだから、何とかならないものか)。
ホモセクシャルで、魔法好き(修験者の弟子となって、日々修行までしていた)という点は、むしろ近年流行の「たんび小説」(どこがどう美に耽っているのか、意味不明な言葉ですが)の主人公に最適かもしれません。でもそういう本が出版されたとしても、読みたいような読みたくないような。


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September 1997; nakajima@hi.u-tokyo.ac.jp