著書と論文

 

本郷和人

 

なぜか古代史料部門(ほんとは中世) 助教授 文学博士(東京大学) 1988年入所
 研究テーマ 中世政治史()・中世古文書学()・中世寺院史(

 

【著書】

『中世朝廷訴訟の研究』 東京大学出版会 95.4
   本を出して頂けませんか。清水の舞台から飛び降りるような気持ちで知り合いの編集者にお願いしました。しばらくして、電話がかかってきて
   「社として結論が出ました」とその編集者。どうなりました、お知らせ願えますか、とおずおずと尋ねると「大事なことなので社までおいで下さい」。
   おお!このくそ寒い雪の日にわざわざ呼んで下さるということは! と期待に胸をふくらませて一時間の道のりを出かけてみると、
   「残念ながら、ご期待には添いかねます」 ええええええ! じゃあ、何で呼びつけるんだよ。 もう帰りの道の寒かったこと。雪の冷たかったこと。
   (そのあと東大出版会に拾っていただきました。出版会さま、ありがとうございます。ご恩は一生忘れません・・。)

『新・中世王権論』 新人物往来社 04.12

『人物を読む 日本中世史』 講談社メチエ 06.5

『武士から王へ』 ちくま新書 07.10

『天皇はなぜ生き残ったか』 新潮新書 09.4 
 

【共著】  

『日本中世史』(室町時代分) 日本放送出版協会 93.3
『日本の中世』(鎌倉時代分) 日本放送出版協会 98.3
『中世日本の歴史』(室町時代分) 日本放送出版協会 03.03
『日本の中世』(鎌倉時代分) 日本放送出版協会 07.4

『古文書学演習』−様式と解釈− (古代分) 続群書類従完成会 03.04 

【共編】

『現代語訳 吾妻鏡』 吉川弘文館 
1頼朝の挙兵(2007.11)   2平氏滅亡(2008.3)  3幕府と朝廷(2008.6)
4奥州合戦 (2008.9)    5征夷大将軍(2009.3) 

 一年に4冊のお約束が3冊になり、2冊になり・・・。
 

【論文】

1「『高野春秋』について」『遙かなる中世』6号(分類B)  

2「中世寺院の社会的機能についての一考察」『史学雑誌』95−4 86.4(分類C)     
   笠松宏先生がおっしゃるには「この論文が本郷くんの書いたものの中では一番良いんじゃない」
   それは喜ぶべきか、悲しむべきことか。うーん、悩ましい。・・ 

3「『満済准后日記』から」『遙かなる中世』8号 87.9 (分類A)

4「鎌倉時代の朝廷訴訟に関する一考察」石井進編『中世の人と政治』 88.6○(分類A)    
    私は元々仏教史を志しておりました。教義と寺院の生産関係を併せ捉えてみたい、と考えていたのですね。
    卒論では高野山やったから、修論では叡山やるか、で、鎌倉新仏教で博論だあ、などと思っておりました。
    で、ある日私が醍醐寺の寺内組織の論文をコピーしていると、隣のコピー機に石井先生が。
    「本郷くん。何をコピーしているの?ん?醍醐寺の寺内組織?最近多いよねえ。その手の論文が。どうしてそんなものが面白いのか、
    ぼくにはさっぱり分からない。いや、失礼いたしました。」(先生歩み去る)
    私は真っ青になりました。そうか、お前の研究はつまらないぞ先生は遠回しに教えて下さったんだ。これは何とかしなくては。
    ・・・というわけで、私は研究対象を急遽変更いたしまして、鎌倉時代の朝廷を主題として修論をまとめたのでした。これはその一部です。
    なお、後に青山学院の藤原良章さんに聞いた話ですと、石井先生は藤原さんに言われたそうです。
    何で本郷くんは急に研究対象を変えちゃったのかなあ。仏教でやってた方が、そこそこには面白かったのに。
    全部、実話です。とほほ。  

5「鎌倉時代朝廷経済の一側面」『日本歴史』495号 89.8○(分類A)       

6「亀山院と鷹司兼平」『古文書研究』32号 90.4○(分類A)    
    クズのような文書から政治状況を復原しちゃうなんて、おれってすげえなあ、そう思っていたし、
    百瀬今朝雄先生にもほめて頂いたのに、某誌でボツになってしまいました。ぎゃあー。うそー。
    鷹司兼平なんて、今まで誰も注目しなかったろ?全然史料がない時期を、ああやったりこうやったりして叙述する工夫をもっとかってくれよー。
    査読委員との相性ってあるんだなあ(←控えめな表現)、と思ったものでした。
    実は今でもそう思ってます。      

7「禅寺以前の長福寺と梅津庄」石井進編『長福寺文書の研究』山川出版社 92.1(分類C)  

8「鎌倉時代朝廷訴訟の一側面」笠松宏至編『法と訴訟』吉川弘文館 92.3○(分類A)  

9「醍醐寺所蔵『諸尊道場観集』紙背文書を読む」『東京大学史料編纂所紀要』3号 93.3○(分類B)  

10「中世寺院の社会的機能についての補論」『東京大学史料編纂所紀要』7号 97.3(分類C)  

11「『源威集』を読む-一武人の眼に映じた足利尊氏について-」『茨城県史研究』80号 98.3(分類A)   加地宏江氏の批判に応える   

12「『鎌倉時代の綸旨・院宣』入門」『遙かなる中世』17号 98.10(分類B)  

13「『満済准后日記』と室町幕府」五味文彦編『日記に中世を読む』吉川弘文館 98.11(分類A)   
    『建内記一』足利義持逝去の記の「馬蹄」って何だろう?ていう20年来の疑問が解決したので満足しています。(まさに「ふるへっへんど」です。)
    義持の死因(従来は風呂に入っていたらばい菌が入って死んだ、といわれている)に疑問を呈することも出来たし。

14「中世朝廷訴訟の方法論ー新たな実証的成果に基づいてー」『遙かなる中世』18号  00.3(分類A)

15「信濃源氏平賀氏・大内氏について」『松本市史研究』10号 00.3(分類A)    
    ずっと関心を持っていた平賀・大内氏についての最終言及です。
    平賀郷と伴野庄、平賀氏と伴野氏、そして小笠原氏の「七カ国管領」。このへんの推論の流れは我ながら見事。すごいぞオレ。とか思って
    「鏡の会」で発表したら、五味センセイに「ふうん。妄想じゃないのお」と言われてしまいました。ちゃんちゃん。

16「西園寺氏再考」『日本歴史』634号 01.3(分類A)

17「北条得宗家成立試論」『東京大学史料編纂所紀要』11号 01.3(分類A) (細川重男氏と共同執筆)

18「後醍醐天皇親政への一考察」『鎌倉遺文研究』8号 01.10(分類A・B)

19「霜月騒動再考」『史学雑誌』第112編 第12号 03.12(分類A)

20「中世古文書学再考」石上英一編『歴史と素材』日本の時代史30吉川弘文館 04.11
    ぼくは締め切りよりずっと早くに原稿を提出しておりました。そしたら、「これから原稿書くぞ!がんばるぞ!パーティー」に
    ぼく一人呼んでもらえなかった。良くも悪くも「人と違うことをするとウナギを食い損ねる」。人生の哲理を学びました。

21「新儀と先例 −天皇嗣立の修辞学」『RATIO』02号 06.10
        
22「15分で分かる日本中世史」(『人文会ニュース』103 08・5)

23「〈鉢木〉に見える武士の忠義について」『観世』平成20年12月号 08.12