『大日本史料』等日本史史料を自力で組版する試み

『大日本史料』などの日本史史料をフリー組版ソフト“LaTeX”(ラテック、ラテフ)で組むための試行錯誤を綴ってゆきたいと思います


目 次

きっかけ

デジタルと紙のはざまで

内容と見ばえのはざまで

それでは“LaTeX”とは?

格闘の記録へ


きっかけ

ここにひとつの組版ソフトがある。名前を“LaTeX”という。
このソフトの存在を知ったのは、跡上史郎さんのホームページでのことだった。さらに跡上さんが紹介されていた日比嘉高さんのホームページを見て、このソフトへの興味がわき上がった。

デジタルと紙のはざまで

日本史史料のデジタルデータ化が格段に進んでいる。史料編纂所はその先端を行っているところのひとつであろう。
生成されたデジタルデータは、主にインターネットのWebページを通じて公開されている。
端末をもっていれば、居ながらにして見たい史料を見ることができるという時代が到来した。
そのいっぽうで、紙に印刷された史料集が捨て去られるかといえば、そうではなかろう。
むしろ、紙に印刷された史料集をめくりながら思考をする、というスタイルはいまだ一般的であるといえる。
こうした時代のはざまにあって、デジタルデータと紙の書物の間にある壁を乗り越え、自由に行き来できるようになるには、いかにすればよいか。
その橋渡し役として目をつけたのが、この“LaTeX”だ。

内容と見ばえのはざまで

学術論文は第一に内容だろう。これは否定のしようがない。
だが私は引用史料の組み方など、見ばえの点にもこだわりたい。
もちろんそれに拘泥しない人もいようが、私に似た考えをもっている人も多いのではないかと、(ひそかに)期待している。
これが口頭報告のさいのレジュメになると、内容はおいて、いっそう見ばえにこだわりたい。
ところが日本史の史料(古文書・古記録)は組みが複雑なものも多く、市販のワープロソフトで思ったとおりの組みを実現することは、かなり難しい。
そこで目をつけたのが、この“LaTeX”だ。

それでは“LaTeX”とは?

この“LaTeX”というソフトについては、大阪大学金水敏さんのホームページ「LaTeX概説」にたいへんわかいやすい解説があるので、ここで下手な解説は不要なのだが、とりあえず簡単な説明だけしておきたい。

“LaTeX”とは、
活字の組版を行うためのフリーソフトである。
スタンフォード大学のクヌース教授によって作られた組版ソフト“TeX”の一種である。
(株)アスキーが日本語化を行ったものを“pLaTeX”という。
呼び方は「テック」「テフ」、「ラテック」「ラテフ」という。
理系の、とりわけ複雑な数式を印刷する用途に使われることが多かった。
それを日本語の縦組み印刷に応用した各種マクロが流通している。
テキストファイルなので、データの再利用などが容易。
こんなところだろうか。
《参考文献》奥村晴彦『LATEX2e美文書作成入門』(技術評論社、1997年、2980円)

“LaTeX”に関するよりわかりやすく詳細な説明は上の金水さんのホームページのほか、奥村晴彦さんのホームページに集積されている関連サイトをご参照下さい。

それでは挫折覚悟で“LaTeX”と格闘してゆきたいと思います。

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