澱粉画像、顕微鏡の下でどうみえるか。

                   はじめに
 米糊の澱粉画像は、
  (1)繊維にカエルの卵が付着したような様子でみえる。あるいはタラコスパゲティというのが今風か。
  (2)一つ一つをみると、丸い独立した透明な球にみえる。
  (3)繊維から遊離して存在する場合もあるが、その場合も独立した丸い球にみえる。
 まず、このような状態で存在する澱粉を和紙の透過光画像で観察するのになれる必要があります。
 ただし、問題は、顕微鏡内部の画像は、普通の携帯用顕微鏡では一人でみるほかなく、共通したディスプレイで画像の確認ができないことです。可能ならば、高級な双眼顕微鏡(二人で一緒にみれるものもあるようです)を装備し、裸眼で検鏡すると同時に、それを精細なディスプレイに投影し、裸眼とディスプレイの両方で画像を複数の目で共同して確認できれば話しは早いです。
 2003年に『禅宗寺院文書の古文書学的研究』(基盤研究(A)(2)で史料編纂所において料紙の合同調査を行い、紙の研究者に教えを受けました。その時、史料編纂所史料保存技術室写真室主任の谷昭佳氏が顕微鏡画像を大画面に投影してくれ、参加者が検鏡をしながらも、大画面に映写された画像を高知県立紙産業技術センター技術部長の大川昭典先生が、澱粉の画像を特定してくれました。これによって、この画像が澱粉ということを相互に確認したことを思い出します。その時以前は、やはり人によって若干の認識のぶれはあったようでした。
   

 

            見やすい画像
 下記の画像は東京大学農学生命科学研究科製紙科学研究室の江前敏晴先生が撮影し、御提供をいただいたものです。コウゾ繊維に付着している様子が、わかります。大きな画像の一部を下記に張っておきました。画像全体は、ここをクリックしてください。

 

                  染色した画像
 澱粉の画像は染色によって明瞭になります。下記の画像はC染色液によって染色したものです。
 同じように大きな画像の一部を下記に張っておきました。画像全体は、ここをクリックしてください。