シラバス

年度 2024 年度
授業科目名 文学部  日本史図像資料研究
担当教員 藤原 重雄  兼任講師 単位数 2
開講日 春学期/水曜日/4限 キャンパス 駿河台
科目ナンバー
(AL)HIS311J
主催区分 AL:文学部・文学研究科 授業形態 1:講義
学問分野(大区分) HIS:史学 授業言語 J:日本語
レベル 3:学部 実践的・専門的に高度な内容の科目
学問分野(小区分) 1:日本史

シラバスの補足/Syllabus Supplement

授業の概要・到達目標

《日本中世絵画史料論:「洛中洛外図屏風」研究》
 優れた芸術の歴史としての美術史とともに、過去を知るための素材としても絵画は参照されてきた。とくに日本中世史の分野では、いわゆる「社会史」の潮流のなかで、素材として対象にする史料ジャンルが拡大し、絵画史料の研究はその一翼を担った。本講義では、そうした先行研究も紹介しながら現在の研究段階を把握し、さまざまな前近代日本の絵画史料に触れる機会にもしたい。ただし扱える対象は限られ、今期は16世紀成立の「洛中洛外図屏風」を中心とする。

授業内容

第1回:導入―能登名産のナマコと『酒飯論絵巻』―
第2回:「洛中洛外図屏風」の概説
第3回:洛外の名所を巡る―『中書家久公御上京日記』と参詣曼荼羅―
第4回:市街地を歩く―フロイスの見た京―
第5回:名論文に学ぶ―瀬田勝哉「弁慶石の入洛」―
第6回:「洛中洛外図屏風」の成立まで―相国寺七重塔眺望説の否定―
第7回:「洛中洛外図屏風」祖本の視点―一条室町辻―
第8回:歴博甲本に描かれた能舞台―芸能の場の命脈―
第9回:歴博甲本に描かれた犬馬場―失われた場の発見―
第10回:上杉本の研究史
第11回:画題としての祇園御霊会
第12回:上杉本の《行列》の理解―歴史学の方法―
第13回:見学課題1/いま見られる作品から
第14回:見学課題2/史料編纂所の見学・図書室利用
※その時々で原物を見られる作品を扱うなど、内容や順序に変更はありうる。

履修上の注意

 過重な負担にならない範囲で博物館・美術館での見学を課すつもりであり、陳列されたモノや展示企画の意図を読み取るとともに、自身の課題発見に結び付けてもらえれば幸いである。知識それ自体はもとより、絵画史料論の方法・見方を講義ではお伝えしたい。

準備学習(予習・復習等)の内容

 前近代日本の絵画史料に限らず、身の回りのさまざまな視覚表象を批判的にとらえる視点を鍛えて下さい(例えば、TV・Web・電車内のCM/広告などが、言葉と画像とをどのように構成して、誰が誰に向けて何をどのように訴えているのか、どのような文脈に置くと、それが良く理解できるのか)。

教科書

特になし。

参考書

絵画史料論全般に関するものとして、下記に目を通す機会があるようにしてください。
・黒田日出男『増補 姿としぐさの中世史』(平凡社ライブラリー、2002年) *「図像の歴史学」を収録
・石上英一編『日本の時代史』30・歴史と素材(吉川弘文館、2004年) *藤原「中世絵画と歴史学」を収録
・藤原重雄『史料としての猫絵』(山川出版社、2014年)
・ピーター・バーク(諸川春樹訳)『時代の目撃者 資料としての視覚イメージを利用した歴史研究』(中央公論美術出版、2007年)
・吉田ゆり子・八尾師誠・千葉敏之編『画像史料論 世界史の読み方』(東京外国語大学出版会、2014年)

課題に対するフィードバックの方法

コメントシートなどでの疑問は、次回以降で適宜内容に応じて取り込む。
期末課題に対してのフィードバックは予定していないが、作成にあたっての参考図書等については適宜助言する。
特に講師の専門と関わるテーマに関して卒業論文等を計画している場合は、相談に応じる(指導はできないことになっています)。

成績評価の方法

平常点(コメントシートなど)40%
レポート(見学課題+期末)60%

その他

東京国立博物館の平常展(総合文化展)には、キャンパスメンバーズhttps://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=167で在学中は無料入館が可能です。何度も利用してみてください。