2010年【古典を読む―歴史と文学―】

        「いま明かされる古代]]X」

 

 

第1回 大和・纒向遺跡とは何か

     ― 崇神天皇とヒミコは同じ時代に生きていた

 

 

開講日時:5/29 ()  午後2:30〜4:30

 

講義会場:金鵄会館(国登録有形文化財)宝形塔屋講義室

 

講  師:静岡大学名誉教授 ( 千葉大学 文学部 教授)

 

            秀三郎 (はら ひでさぶろう) 先生

 

 

概   要:昨年秋、奈良県桜井市の纒向遺跡で発掘された居館跡は、邪馬台国女王卑弥呼の宮殿かと大きな話題になりました。しかし、これは疫病の蔓延を憂う崇神天皇の枕辺に立った大物主神が、わが子大田田根子(おおたたねこ)に吾を祭らせよと告げたと紀・記の伝える、その大田田根子の居館と見るべきものです。そして、大田田根子が神主となった大神神社や箸墓古墳、崇神・垂仁・景行三代天皇の宮殿跡地が集中する磯城・纒向の地こそ、大和王権発祥の地だったのです。三世紀中葉の日本列島には、大和に崇神天皇が、北九州の筑紫山門には魏志倭人伝の伝えるヒミコが共に併存して生きていたのでした。

 

 

 

 

 

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        「いま明かされる古代]]X」

 

 

第2回 「み坂」に立つ存在(もの)

      ― 古代の祭祀場は何故そこにあるのか?

 

 

開講日時:6/12 ()  午後2:30〜4:30

 

講義会場:金鵄会館(国登録有形文化財)宝形塔屋講義室

 

講  師:同志社大学 歴史資料館 教授 

 

        辰巳 和弘 (たつみ かずひろ) 先生

 

 

概  要:古代、東山道を往く者にとって最大の難所、神坂峠。美濃と信濃を境するこの地に、古代祭祀遺跡があることはよく知られている。そこには、勾玉・剣・鏡など、さまざまな滑石製形代が手向けられた。

神坂峠祭祀遺跡を手懸りに、各地の「み坂」に言い及び、そこから古代人の空間的観念を考え、従来の日本考古学が等閑視してきた、祭祀遺跡の“場”がもつ意味について論じつつ、“日本人のこころ”の奥底に分け入ります。

 

 

 

 

 

 

 

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3   平安仏教の幕開け

       ―最澄・空海と国家仏教―

 

開講日時:/17 ()  午後2:30〜4:30

 

講義会場:金鵄会館(国登録有形文化財)宝形塔屋講義室

 

講  師:学校法人 立命館 副総長

     立命館大学 文学部 人文学科 日本史学専攻 教授

 

       本郷 真紹 (ほんごう まさつぐ) 先生

 

概  要:平安時代初期に天台宗・真言宗という新たな宗派を開いたとされる最澄と空海。通説では、卓抜した能力を有するこの二人の僧が活躍したことで、日本社会における仏教の展開に新たな動きが生じたとされてきた。しかし、当時仏教は律令国家の統制下に置かれており、いかに優れた人材でも、個人の力量のみで従来の方向を転換することは不可能であった。一体何が契機で、日本的仏教の形成を促す大きな潮流がこの段階に出現するに至ったのか。当時の政治情勢を踏まえながら、この問題について改めて考えてみることにしたい。

 

 

 

 

 

 

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第4回 正倉院宝物を読む

 

 

開講日時/24 ()  午後2:30〜4:30

 

講義会場:金鵄会館(国登録有形文化財)宝形塔屋講義室

 

講  師:宮内庁 正倉院事務所 所長

       奈良女子大学大学院 客員教授

        杉本 一樹 (すぎもと かずき) 先生 

 

 

概  要:正倉院の宝物,あるいはそれに象徴される奈良時代の文化のあり方。それが,その後の日本文化に与えた影響を考えると,まさしく「古典」の一つといってよいだろう。よく知られているように,正倉院は,豊富な「もの」資料を伝えており,そこには,当時の「しごと」の過程で生み出された大量の文字も残っている。文字史料に限らず,人々の活動の結果としての「もの」が蓄積してきた記憶は,厖大なものがある。ここでは,宝物に問いかけることによって,その記憶を引き出す試みを「宝物を読む」と呼び,いくつかの事例紹介から,その可能性―どのように読めるか―を検証してみたい。

 

 

 

 

 

 

 

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第5回 邪馬台国の女王、卑弥呼の衣服

 

 

開講日時:/31 ()  午後2:30〜4:30

 

講義会場:金鵄会館(国登録有形文化財)宝形塔屋講義室

 

講  師:大阪大学大学院 文学研究科 文化動態論専攻

     共生文明論講座 教授

        武田 佐知子 (たけだ さちこ) 先生

 

 

概  要:邪馬台国の女王卑弥呼は、中国に使いを送り、「親魏倭王」と刻んだ金印紫綬や、銅鏡百枚、五尺の大刀などを得たが、同時に、中国皇帝の臣下としての、倭王の身分をあらわす衣服を得た可能性がある。

その衣服はどのようなものであったのかを、中国の考え方や東アジア世界の事情を勘案しながら見ていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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第6回 平城宮大極殿院とその木簡

 

 

開講日時:/ ()  午後2:30〜4:30

 

講義会場:金鵄会館(国登録有形文化財)宝形塔屋講義室

 

講  師:奈良文化財研究所 都城発掘調査部(飛鳥・藤原地区) 主任研究員 

        山本 崇 (やまもと たかし) 先生

 

 

概  要:平城遷都1300年を迎えた2010年、平城宮跡では第一次大極殿が竣工を迎えた。古代建築の復原は、発掘調査成果の検討にはじまり、建築技術、遺物の製作技法、文献史料・絵画資料などを駆使して可能となる。その作業の一部として、平城宮の中枢部分にあたる第一次大極殿院周辺から出土した約5000点の木簡を読み直した結果、平城宮造営史をより具体的に明らかにする手掛かりが含まれていた。平城宮はどのように造営されたのか、奈良時代を通じてどのように造営され続けたのか、この問題について、出土した木簡の語る事実を奈良時代の政治史との関連を踏まえつつ検討してみたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

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第7回 平安時代の国際関係

 

 

開講日時:/28 ()  午後2:30〜4:30

 

講義会場:金鵄会館(国登録有形文化財)宝形塔屋講義室

 

講  師:九州大学大学院 人文科学研究院 

     歴史学部門 日本史学講座 教授 (文学部・人文科学府併任) 

        坂上 康俊 (さかうえ やすとし) 先生

 

 

概  要:平安時代の国際関係は、古代史研究の中でも、ここ 二・三十年ばかりの間に急速に研究が深まった分野の一つである。特に十世紀以降の東アジア世界の中で、摂関時代の貴族達のとった外交政策を、積極的な孤立主義路線と再評価する動きは、着実な研究成果によって肉づけられつつあり、退嬰的・保守的とするかつての評価は、今や消え去る寸前にあると言って良い。今回の講義では、こうした研究動向を踏まえつつ、「然入宋に焦点を当てながら、平安貴族の外交感覚を考えていきたい。