東京大学史料編纂所

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特定共同研究【古代史料領域】古代史料の研究資源化

研究課題 平安時代基本典籍・記録類の史料学的再検討
研究期間 2016~2018年度
研究経費
(2016年度)100万円
(2017年度)100万円
研究組織  
研究代表者 山口英男
所内共同研究者 田島 公・尾上陽介・遠藤基郎・伴瀬明美・藤原重雄・稲田奈津子・黒須友里江
所外共同研究員 新井重行(宮内庁書陵部)・有富純也(成蹊大学)・川尻秋生(早稲田大学)・高田義人(宮内庁書陵部)・佐藤全敏(信州大学)・十川陽一(山形大学)・武井紀子(弘前大学)・告井幸男(京都女子大学)・森哲也(九州大学大学院)・吉永匡史(金沢大学)
研究の概要
  • 2017年度
  • 2016年度
【2017年度】
(1)課題の概要
本研究課題は、平安時代史の研究のための基本史料となる典籍・記録類(編纂史料・法政史料・文例集・儀式書・年中行事書・部類記等)について、近年の史料学的研究の展開を踏まえた再検討を行い、平安時代史料研究の新たな進展をはかるものである。そのため、新訂増補国史大系本・正続群書類従本所収の平安時代の典籍・記録類を中心に文献学的・目録学的研究の現状や最新の研究成果を研究メンバーで共有し、共同調査を通じて共通の視点・手法の確立をはかると共に、メンバーの専門分野と視角に応じて対象を絞り込んだ写本の調査・「発掘」を進め、書誌研究、史料校訂・翻刻といった形で史料学的成果の展開・蓄積をはかる。研究成果は、学会・研究会・ワークショップ等で報告するほか、報告書・史料集の形で刊行・公表する。
平安時代の基本史料である『日本紀略』・『扶桑略記』・『帝王編年記』・『百練抄』・『政事要略』・『朝野群載』等は、国史大系に収録されているが、古写本部分が少なく、写本の系統が不明であるなど、テクストの信頼性には問題も残されている。校訂に用いられなかった古写本や善本の新写本の存在も明らかになってきている。また『群書類従』・『続群書類従』の「公事部」等に収載される儀式書・年中行事書等も、底本の選択や校訂には問題が多く、編者・著者や史料の性格等についても、半世紀以上前の成果に頼らざるを得ないことがしばしばである。これらのテクストの利用は、電子的手法を通じてより広く普及する方向で進んでおり、問題が見逃されてしまうことが危惧される。しかし、近年になって禁裏・公家文庫等の所蔵史料の調査・整理が格段に進展し、従来知られていない系統の写本や、より古い写本・善本の発見が相次いでいる。編者・著者が新たに判明し史料の性格がより明確になったものも増えている。研究条件も格段に高度化しつつある。例えば史料編纂所では、陽明文庫・京都御所東山御文庫・宮内庁書陵部等が所蔵する良質な典籍・記録類の高精細デジタル画像の蓄積を飛躍的に進行させ、所内でのデジタル閲覧の形で研究利用に供している。現時点でのこうした研究状況・研究条件の進展を踏まえ、今こそ必要かつ可能な平安時代基本典籍・記録類の史料学的再検討を行うことが、本研究の目的である。

(2)研究の成果
昨年度以来、研究会・史料調査等によって文献学的・目録学的研究のこれまでの成果や手法の共有を踏まえ、研究メンバーの問題関心に応じた調査対象を設定し、史料編纂所で閲覧可能な、陽明文庫・京都御所東山御文庫・宮内庁書陵部等が所蔵する良質な典籍・記録類の高精細デジタル画像を中心とした調査、及び他機関等所蔵の写本類の調査及び書誌学的な研究情報の収集を実施した。研究会や調査情報の共有を通じて共通の視点・手法への方向性が示されてきたことは、共同研究のメリットである。