共同利用・共同研究拠点の活動について

　東京大学史料編纂所は、前近代を中心とする多くの日本史史料を収集し、影写本や写真帳の形で、また、『大日本史料』や『大日本古文書』などの史料集の編纂・刊行を通じて、さらに近年ではさまざまなデータベースを開発することによって、これらを研究資源として多くの研究者の利用に供してきました。
　こうした基盤のもとに、本所は2009年6月、文部科学大臣より「日本史史料の研究資源化に関する研究拠点」として認定され、2010年度より活動を開始いたしました。
　この拠点は、研究資源とその利用手段のさらなる充実による日本史研究の発展を願う研究者コミュニティの要望にこたえるべく、これまでに蓄積してきた研究資源をもとに、国内外に存在する日本関係史料について、多くの研究者と連携して共同調査・共同研究をおこない、全体的・系統的な研究資源の蓄積と共同利用を促進し、史料学研究・日本史研究の質の向上を目指すことを目的とするものです。

　特定共同研究の共同研究員・一般共同研究の課題については、毎年公募を行ない、東京大学史料編纂所協議会の審議を経て、採択決定します。共同研究のご希望をお持ちの研究者は、ぜひご検討ください。

　これまでに実施された特定共同研究・一般共同研究の研究課題とその成果については、こちらをご覧ください。

　2016年度の拠点の事業として、東京大学史料編纂所協議会の審議に基づき、以下の共同研究を採択決定し、活動を開始しました。

2016年度特定共同研究課題一覧

古代史料・中世史料・近世史料・海外史料・複合史料の各領域について、本所で設定した共同研究の柱および研究課題のもとに、所外から公募した共同研究員とともに研究を進めるものです。

【領域】	テーマ	研究期間	所内共同研究者	所外共同研究員 (所属)	所要経費
【古代史料領域】	平安時代基本典籍・記録類の史料学的再検討	2016〜18年度 (3年間)	山口英男 （代表者） 田島 公 尾上 陽介 遠藤 基郎 伴瀬 明美 藤原 重雄 稲田 奈津子	新井 重行 (宮内庁書陵部) 川尻 秋生 (早稲田大学) 高田 義人 (宮内庁書陵部) 武井 紀子 (弘前大学) 告井 幸男 (京都女子大学) 森 哲也 (九州大学大学院) 吉永 匡史 (金沢大学)	100万円
【中世史料領域】	寺門派寺院所蔵中世史料の調査・研究	2016～17年度 （2年間）	末柄 豊 （代表者） 村井 祐樹 藤原 重雄 谷 昭佳	小川 剛生 （慶應義塾大学） 坂口 太郎 （高野山大学） 高橋 大樹 （大津市歴史博物館） 長村 祥知 （京都文化博物館） 福家 俊彦 （園城寺） 三木 麻里 （日本大学）	100万円
【近世史料領域】	近世初期大名家における大身家臣史料群の研究資源化	2016～17年度 （2年間）	小宮 木代良 （代表者） 佐藤 孝之 及川 亘	大平 直子 （佐賀市教育委員会） 佐藤 紘一 （鳥取県立図書館） 志佐 喜栄 （多久市郷土資料館） 清水 雅代 （佐賀県立図書館） 田久保 佳寛 （小城市教育委員会） 藤井 祐介 （佐賀県立佐賀城本丸歴史館） 本多 美穂 （佐賀県立図書館） 松田 和子 （佐賀県立図書館）	120万円
【海外史料領域】	ヴァチカン図書館所蔵マリオ・マレガ氏蒐集史料の総合的研究	2016～18年度 （3年間）	松井 洋子 （代表者） 松澤 克行 佐藤 孝之 杉森 玲子 松方 冬子 岡 美穂子 岡本 真	大津 祐司 （大分県立先哲史料館） 大友 一雄 （国文学研究資料館） 大橋 幸泰 （早稲田大学） 岡村 一幸 （臼杵市教育委員会） 久留島 浩 （国立歴史民俗博物館） 佐藤 晃洋 （大分県教育庁） 清水 有子 （明治大学） Silvio VITA （京都外国語大学） 村井 早苗 （日本女子大学名誉教授）	200万円
【複合史料領域】	戦国合戦図の総合的研究	2016~18年度 （3年間）	金子 拓 （代表者） 藤原 重雄 黒嶋 敏 畑山 周平 及川 亘 林 晃弘 村岡 ゆかり	阿部 哲人 （米沢市上杉博物館） 井上 泰至 （防衛大学校） 薄田 大輔 （徳川黎明会徳川美術館） 川戸 貴史 （千葉経済大学） 白水 正 （犬山城白帝文庫） 須藤 茂樹 （四国大学） 高橋 修 （茨城大学） 髙山 英朗 （福岡市博物館） 谷口 央 （首都大学東京） 津田 卓子 （名古屋市博物館） 原 史彦 （徳川黎明会徳川美術館） 堀　新 （共立女子大学） 柳沢 昌紀 （中京大学文学部） 山田 貴司 （熊本県立美術館学芸課参事） 湯浅 大司 （新城市教育委員会）	130万円
合計					650万円

2016年度一般共同研究課題一覧

所外の研究者(1名あるいは数名のグループ)から、共同研究の課題を公募し、本所の研究者と協力して研究を進めるものです。

No.	課題名	共同研究員	所内共同研究者	所要 経費(円)
1	成菩提院所蔵近世史料の研究資源化	曽根原 理 （東北大学・代表者） 青柳 周一 （滋賀大学） 井上 智勝 （埼玉大学） 朴澤 直秀 （日本大学） 梅田 千尋 （京都女子大学） 東 幸代 （滋賀県立大学） 湯浅 治久 （専修大学） 大島 薫 （関西大学）	林 晃弘 （所内担当者）	500,000
2	南北朝期興福寺関係史料の研究－『細々要記』の諸本調査と復元－	大薮 海 （お茶の水女子大学・代表者） 安田 次郎 （お茶の水女子大学） 荻島 聖美 （品川歴史館）	末柄 豊 須田 牧子 （所内担当者）	440,000
3	『山槐記』本文テキストの基礎的研究	石田 実洋 （宮内庁書陵部・代表者） 高橋 秀樹 （文部科学省）	尾上 陽介 （所内担当者） 遠藤 珠紀	500,000
4	東京国立博物館所蔵湿板写真ガラス原板に関する基礎的研究	遠藤 楽子 （東京国立博物館・代表者） 田良島 哲 （東京国立博物館）	保谷 徹 （所内担当者） 箱石 大 稲田 奈津子 谷 昭佳 高山 さやか	500,000
5	明治天皇第1回東幸の史料学的研究	奈倉 哲三 （跡見学園女子大学名誉教授・代表者）	箱石 大 （所内担当者）	360,000
6	東京大学史料編纂所所蔵東アジア関係古文書資料の調査・研究	小島 浩之 （東京大学大学院経済学研究科・代表者） 橋本 雄 （北海道大学） 藤田 励夫 （文化庁） 矢野 正隆 （東京大学大学院経済学研究科） 森脇 優紀 （東京大学大学院経済学研究科） 冨善 一敏 （東京大学大学院経済学研究科）	須田 牧子 （所内担当者） 黒嶋 敏 髙島 晶彦	477,000
7	近世公家日記を用いた地震活動評価の研究	西山 昭仁 （東京大学地震研究所・代表者）	佐藤 孝之 （所内担当者） 松澤 克行 荒木 裕行	370,000
8	織豊期の文書料紙の形態・紙質について－前田家関係史料を中心に－	本多 俊彦 （高岡法科大学・代表者） 富田 正弘 （富山大学名誉教授） 瀬戸 薫 （石川県立図書館） 天野 真志 （東北大学）	末柄 豊 （所内担当者） 髙島 晶彦	500,000
9	六所家史料旧東泉院聖教の復原的研究と公開	井上 卓哉 （富士市立博物館・代表者） 大高 康正 （世界遺産センター） 猪瀬 千尋 （名古屋大学） 三好 俊徳 （名古屋大学） 阿部 美香 （昭和女子大学） 坂本 正仁 （大正大学） 阿部 泰郎 （名古屋大学）	藤原 重雄 （所内担当者）	500,000
10	都市奈良における中小規模寺院資史料の基礎的研究	佐藤 亜聖 （元興寺文化財研究所・代表者） 服部 光真 （元興寺文化財研究所）	高橋 慎一朗 （所内担当者）	500,000
11	中世社寺算用状類に見る会計知識の研究	三光寺 由実子 （和歌山大学・代表者）	高橋 敏子 （所内担当者） 金子 拓 川本 慎自	400,000
12	史料編纂所所蔵賀茂別雷神社関係史料を中心とした同社文書および社内組織の研究	野田 泰三 （京都光華女子大学・代表者） 三枝 暁子 （東京大学大学院人文社会系研究科） 宇野 日出生 （京都市歴史資料館） 志賀 節子 （関西大学）	久留島 典子 高橋 敏子 金子 拓 （所内担当者） 遠藤 珠紀	500,000
13	泉涌寺所蔵の中・近世史料に関する基礎的研究	西谷 功 （泉涌寺宝物館・代表者） 大谷 由香 （龍谷大学）	高橋 慎一朗 （所内担当者） 林 晃弘	500,000
14	兵庫県下所在豊臣秀吉文書の調査・研究	前田 徹 （兵庫県立歴史博物館・代表者） 市村 高規 （龍野歴史文化資料館） 石原 由美子 （豊岡市教育委員会） 工藤 祥子 （淡路市教育委員会）	村井 祐樹 （所内担当者）	500,000
15	中世石見在地領主肥塚家文書の調査研究	倉恒 康一 （島根県教育庁文化財課・代表者） 本多 博之 （広島大学） 佐伯 徳哉 （新居浜工業高等専門学校） 中司 健一 （益田市歴史文化研究センター） 目次 謙一 （島根県古代文化センター）	西田 友広 （所内担当者）	488,000
16	「異国渡海船路積」と『坤輿万国全図』系世界図の研究	中島 楽章 （九州大学・代表者） 鹿毛 敏夫 （名古屋学院大学） 藤田 明良 （天理大学） 山崎 岳 （奈良大学） 鷲頭 桂 （九州国立博物館）	杉本 史子 岡 美穂子 （所内担当者）	500,000
17	大分県所在の城郭絵図に関する収集資料群の基礎的研究	櫻井 成昭 （大分県立先哲史料館・代表者） 河原 晃永 （大分県立先哲史料館） 武富 雅宣 （大分市歴史資料館）	佐藤 孝之 井上 聡 （所内担当者）	500,000
合計				9,035,000

これまでに実施された特定共同研究・一般共同研究の活動

これまでに実施された特定共同研究・一般共同研究の研究課題とその成果については、 こちらをご覧ください。