東京大学史料編纂所

研究種目名 若手研究(A)
研究課題名 アジア地域史研究資源としてのポルトガル編年史料典籍とモンスーン文書の研究(26704007)
研究期間 2014年度~2018年
研究代表者 岡 美穂子
研究目的 自然災害、戦争、気候等の問題により、近代以前の史料の残存状況が良いとは言い難いアジア諸地域史の研究において、それらの地域を訪れたヨーロッパ人が書き残した記録は非常に有益な情報源である。ヨーロッパ勢力ではじめて本格的なアジア進出を果たしたポルトガル人の手で残された記録は、豊かな情報を有しながらも、本邦では存在すら知られていないものが多々ある。本研究では、広範囲なアジア史研究に有益なポルトガル語史料及び史書の歴史資源化を通じて、アジアの歴史像を新たな視点から描き出すことを目的とする。
研究実績の概要
  • 2015年度
  • 2014年度
【2015年度】
本年度は二〇一四年度に締結された史料編纂所とポルトガル国立文書館との学術協定に基づいて、ポルトガル国立文書館から提供された《モンスーン文書》六二巻(画像約四万点)と、昨年同文書館に包摂された海外領土史料館の日本関係史料のデジタル画像(画像約一万四〇〇〇点)の整理をおこなった。とくに日本関係の情報が含まれる文書の精読をおこない、今後訳出して刊行する対象となる史料を選別した。
また研究成果を国内外の学会において積極的に発表することに努め、ポルトガルの国際学会において、二〇一五年一〇月、二〇一六年三月の二回にわたり研究報告(英語)をおこない、国内の大規模なシンポジウム・学会報告を四回(日本語)、セミクローズドの研究報告(日本語)を二回おこなった。そのうち長崎県平戸市におけるシンポジウム《国際フォーラム「キリシタンの世紀と世界遺産」平戸市生月町開発総合センター大ホール》には、平戸市との共催で、ポルトガルから日葡交渉史の権威であるジョアン・パウロ・オリベイラ・エ・コスタ(リスボン新大学)教授を本科研費で招聘し、長崎県内のキリシタン文化、東西交渉の痕跡等について、欧文史料からの研究成果を一般市民に分かり易く解説していただいた。
本年とくに力を注いだのは、近世初頭の日本と東アジア・東南アジアの外交上の諸問題の解明であり、この研究において、中世後期から近世初頭の東アジア海域をめぐる、西欧勢力の参入で生じた変化あるいはそれ以前からの連続性、日本人が海外で巻き込まれた抗争などについて、「モンスーン文書」を用いて詳しい考察をおこなった。成果は一一月の東洋史研究会大会報告で披露され、論文として次年度に刊行される。
備考