東京大学史料編纂所

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研究種目名 基盤研究(C)
研究課題名 中世後期日明関係の人的基盤の研究―「初渡集」「再渡集」を中心に―(17K03058)
研究期間 2017年度~2020年度
研究代表者  須田 牧子
研究目的  本研究の目的は、第一に一六世紀の遣明船の副使・正使を務めた禅僧・策彦周良の旅日記「初渡集」「再渡集」を精読し、そこに登場する約400人の人物像を検討し、中世社会のなかでどのような立場にある人間がいかなる形で遣明船派遣事業に関与していたかを解明すること、第二に日記の筆者である策彦の履歴、特に帰国後の事績を復元し、彼が海外経験をいかに自らの価値としていたのかを追究することにある。そのための具体的な研究活動は下記の三つの柱で構成される。①「再渡集」の精読:策彦周良が正使を務めた時の日記である「再渡集」の講読会を行って精読し、翻刻と訳注を作成する。②「初渡集」「再渡集」の登場人物の研究:上記「再渡集」と、策彦周良が副使を務めた時の日記である「初渡集」の登場人物リストを作成し、彼らに関わる日本側史料を探索し、人物像とその国内社会における地位を明らかにすることを通じ、遣明船経営を支えた人的基盤の分析を行う。③策彦周良関係史料の収集:策彦周良自身の履歴の復元をめざし、史料を収集する。
研究実績の概要
  • 2017年度
【2017年度】
 今年度においては、柱①「再渡集」の精読については、6・9・11・1・2月と予定通り5回の講読会を催し、翻刻・読み下しと注釈・現代語訳を蓄積した。概ね予定通り全体の四分の一強を終了したことになる。特筆すべきは中国側史料を並行して読み進めることにより、遣明使節たちが交渉を持った、寧波・舟山の軍事・民事担当者の名前が判明し、その地位・立場が相当に明らかになってきていることで、16世紀半ばという、中国沿海部における騒擾状況が激しさを増してくる時期の、当該地域社会の中間層の動向の一端がみえてくるという思わぬ収穫が得られつつある。柱②については、以前、本研究の代表者・分担者らが関わった科研で精読した「初渡集・下」の講読成果の整理をODを雇用して行ない、人名索引を作成した。また遣明船関連史料を多く含むいくつかの文書群について、史料群そのものの整理・検討を行ないつつ、必要なものについては原本調査準備をおこなった。来年度以降実施予定である。柱③については各種目録の検討作業を進めた。
備考