東京大学史料編纂所

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研究種目名 基盤研究(A)
研究課題名 摂関家伝来史料群の研究資源化と伝統的公家文化の総合的研究(17H00926)
研究期間 2017 ~ 2021年度
研究代表者 尾上 陽介
研究目的  本研究は、平安時代以来、千年以上にわたって我が国の政治・文化を形作ってきた摂関家に伝来した膨大な史料群について、目録情報とデジタル画像の整備・公開による研究資源化を進めつつ、伝統的公家文化の総合的研究を行うことを目的とするものである。
 具体的には、五摂家の内で唯一、関係史料群がほぼ散逸することなく伝来している近衞家を研究対象とし、公益財団法人陽明文庫等に所蔵される近衞家伝来史料群のうち、古文書・古記録や書蹟・絵画等を中心に、網羅的な原本調査により目録情報を精緻化し、重要史料の高精細デジタル撮影と画像データの東京・京都における公開を進め、従来利用されることの少なかった大規模史料群全体を各方面から分析して伝統的公家文化の諸相について研究を進める。また、顕微鏡などを利用した詳細な紙質分析を通して摂関家が使用した紙の実態を調査し、公家社会における紙の使用法についても考察する。
研究実績の概要
  • 2017年度
【2017年度】
 陽明文庫における原本調査の成果に基づき、古文書・古記録・典籍・書蹟・絵画などを中心とする近衞家伝来史料について、それぞれの目録情報の精緻化を進め、重要史料については高精細デジタル撮影を行った。2017年度には、「陽明文庫一般文書目録」のうち「消息」・「書画」・「目録」の部分と、「佳品目録」のうち「書蹟」・「絵画」等について原本の網羅的調査を開始し、点数・形態・書誌などの目録情報の精緻化を進めた。これら以外の目録に掲載されているものも含めて、重要な史料については原本調査の成果を反映して撮影用キャプションを作成し、史料の形状や状態などを把握した上で、計画的に高精細デジタル撮影を行った。撮影した史料は、近衞家当主とその周辺人物の書状などの古文書1954点、『无上法院殿御日記』(近衞基凞正室常子内親王の日記)などの古典籍類118点、『短冊手鑑』などの書蹟類4点、計2076点であり、合計コマ数は9649コマである。
 原本調査に並行して、他機関所蔵史料を含めた摂関家伝来史料を中心とした伝統的公家文化の研究を進めた。摂関家伝来史料について原本およびデジタル画像により分析することで、古代から近世に至るまでの近衞家歴代とその周辺人物の政治的・文化的活動を考察し、伝統的公家文化の実態について多様な視角から研究し、成果の一部については学術論文等で発表した。
 また、反射光顕微鏡・透過光顕微鏡などの調査機材を整備し、近衞家伝来史料の紙質調査と検討を開始した。具体的には、長期間にわたり特に多様かつ多数の原本が伝来している書状類や、勅・位記など朝廷の公式文書類について、料紙の科学的な調査を開始し、各種データを採取した。
 高精細デジタル撮影を終えた画像データについては、2017~21年度(予定)科学研究費補助金(基盤研究(S))「天皇家・公家文庫収蔵史料の高度利用化と日本目録学の進展―知の体系の構造伝来の解明―」(研究代表者田島公)による成果と併せて、陽明文庫の許可を得た後に、順次、東京大学史料編纂所図書閲覧室内端末からの公開に向けて準備を進めている。また、京都府立京都学・歴彩館にも画像データ及び目録情報を提供し、同館内の閲覧室端末においても公開を準備している。
備考