東京大学史料編纂所

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研究種目名 基盤研究(A)
研究課題名 前近代人物情報論の構築にむけた花押・筆跡の網羅的収集と汎用的利用に関する研究(17H00921)
研究期間 2017 ~ 2019年度
研究代表者 林 譲
研究目的  歴史学研究においては、正確なテクストの復元とともに、そこに登場する人物を正しく同定し、その地位や立場などを究明することが不可欠の前提となる。人物を見極める手法は多岐にわたるが、当該人物が記した花押(サイン)・筆跡の形象が決定的指標となることは言を俟たない。だがこの方法を有効に機能させるためには、正確な史料批判を踏まえた情報の網羅的収集と、蓄積された情報への参照手段が確立されなければならない。本研究は、東京大学史料編纂所における経験・蓄積に加え、機械学習ほか最新の情報学の手法を援用することで、かかる課題を解決し、人文研究の地盤を強化するとともに、新たな研究の地平を切り開くことを目指すものである。
研究実績の概要
  • 2017年度
【2017年度】
 本研究の開始年度にあたる2017年度において、以下の3つの研究ユニットを構成し連携しながら課題を進めた。
 ⒜花押・筆跡情報の蓄積スキームの構築研究では、花押・筆跡を有効かつ合理的に収集・蓄積するスキームを確立するため、入力・校正インターフェイス「新花押・筆跡DB」システムを構築し、網羅的な収集・蓄積を開始し、その体制を整えたこと、また紙媒体である『花押かがみ』南北朝時代編纂用「花押カード」約33,000枚、並びに『花押彙纂』『印章彙纂』のデジタルデータへの変換を完了し、テキストデータの整序を進め、データベースへの搭載を準備したことが重要な成果である。
 ⒝情報学的解析方法の援用による機能高度化研究では、史料編纂所と奈良文化財研究所が共同開発した字形自動判読OCRソフト「MOJIZO」を「史料編纂所歴史情報システム」(SHIPS)へ導入する環境整備を進め、それとともに、花押の同定にも利用が可能となるよう機能強化について研究を進めた。それらの研究成果等を情報処理学会等の学会・研究会で報告し、関係者の議論を喚起した。
 ⒞歴史的人物情報の統合化と共有にむけた発信方法の研究では、人物属性に関わるメタデータとして汎用的に統合利用するため、人物レポジトリおよび人物情報典拠モジュールを「新花押・筆跡DB」システムに実装した。また蓄積された筆跡データの広汎な利活用を推進するため、歴史的文字の学習・研究を目的とした各種DB・アプリ開発グループへのデータ提供について研究を進めた。
 なお本研究の目的ならびに概要については、「じんもんこん2017CH第115回研究会」(2017年8月4日、東京大学史料編纂所)において報告し、様々な専門分野に属する所外の研究者より貴重なご意見・ご指摘をいただいた。
備考