東京大学史料編纂所

研究種目名 基盤研究(C)
研究課題名 東アジア諸王室における「后位」比較史研究に関する国際的研究基盤の形成(15K02813)
研究期間 2015年度~2017年度
研究代表者 伴瀬 明美
研究目的 前近代東アジア(中国・朝鮮・日本)に共通してみられる「后位」にかかわる儀礼・諸制度の総合的な基礎研究を通じて、東アジア諸王室における王の嫡妻、王の母・祖母の国制上の位置づけや社会的地位の独自性と共通性を分析し、前近代東アジアの国際秩序形成において重要な要素であった中国礼制の各地域・時代における〈受容〉と〈独自の発展〉という両側面のあり方を解明する。また、基礎研究の過程で作成する文献目録およびその多言語版解説、各国儀礼書の訳注を研究成果と共に公開し、東アジア研究の国際的研究資源として提供する。
研究実績の概要
  • 2017年度
  • 2016年度
  • 2015年度
【2017年度】
 本研究は、国際的研究基盤を構築するための①文献目録・解説の作成、②儀礼書の訳注の作成、これらをふまえた③協業的方法による比較史研究、を柱とし、韓国・中国での現地学術調査・学術交流を行いつつ、研究を進めている。①については、日本史・中国史・朝鮮史それぞれについての后位・后妃・後宮などに関する文献目録を作成し、日本史文献は686件、中国史文献は266件、朝鮮史文献は168件(いずれも重複収集等誤データ整理後の件数)を収集し、一文献ごとにキーワードを切り出し、外国語文献はタイトル・副題・キーワードの日本語訳を付して目録に登録した。また、日本史・中国史・朝鮮史文献目録それぞれについて、研究動向や概要等をまとめた「解説」を作成し、それぞれの分野において研究上の重要文献について、一文献ごとに200字程度の要約を作成した。この重要文献には外国語(中国語・韓国語)文献も含まれる。なお、「解説」は、それぞれ英訳を行った。②については、儀礼における直接の継受関係が明確であり、それぞれの国の王室・后妃関連儀礼の基礎となった儀礼書である中国唐代の『大唐開元礼』と朝鮮王朝の『国朝五礼儀』の立后(立妃)儀礼にあたる『大唐開元礼』巻九十三「嘉礼/納后」と『国朝五礼儀』巻三「嘉礼/納妃儀」を対象に訳注を行い、私家にある女性を皇后・王妃として迎える場合の一連の儀礼(納后・納妃)のうち、対象女性を皇后・王妃に冊立する儀礼までについて、訳注を作成した。③に関しては、主に定例の公開研究会「東アジア后位比較史研究会」において進めた。2017年度は6回開催し、日本のみにみられる「女院」、和蕃公主の降嫁、后妃廟の成立と展開、漢代における皇后宮・皇太后宮の成立などに関する研究報告が行われ、日本史・中国史・朝鮮史の研究者が専門を超えて討論や意見交換を行った。儀礼書の訳注もこの公開研究会において行っている。また4月2日には国際研究集会「東アジアの皇后儀礼の比較研 究」を開催し、(台湾)中央研究院歴史語言研究所の鄭雅如氏が北魏の皇后・皇太后に関する研究報告を行い、伴瀬・稲田・豊島ら共同研究メンバーが各専門分野からコメントした。さらに、これらの共同研究による成果の蓄積をふまえ、7月に中央研究院近代史研究所において開催された国際学術研討会「世界史中的中華婦女」にパネル報告「性別、禮制與國族:中国皇后禮儀與東亞世界」として、鄭雅如氏と共に共同研究者全員が参加し、研究報告を行った。本研究の成果全体は、2018年3月に東京大学史料編纂所研究報告2017-5『東アジア諸王室における「后位」比較史研究に関する国際的研究基盤の形成』にまとめ、発刊した。文献目録・解説については、オープンデータとしてweb上での公開を準備中である。
備考